2本の平紐のねじれによる滑り止めについて

2019/06/07

 読者の皆様へ。

 2本の平紐のねじれによる滑り難さについて考えましょう。

 よく、バックルのベルトがあります。勿論、滑りにくい平紐のベルトです。これは、

時間が経つとベルトが緩んで、ズボンが垂れ下がってきます。

 では、平紐を2本にして、1本の平紐と同じ厚さにするとどうなるかというと、恐ら

く時間が経つと、摩擦力が増し、ベルトは弛みにくくなります。

 では、今度は、2本の平紐の片方をひねりを入れて、バックルに平紐を通します。こ

れだと、片方は平らにバックルを通りますが、もう片方はねじれた部分からの平紐を元

の平面に戻そうとする、モーメントみたいな力が働くので少し浮き上がり、グリップパ

ワーが増します。

 究極、片方の平紐をそのままバックルに通し、もう片方の平紐を5回くらい捻ってか

らバックルに平らに通すと、グリップパワーが格段に増します。これは、捻られた平紐

が元の形に戻ろうとする時の回転力がバックル内部にかかり、摩擦を生じさせるからで

す。

 ワイヤーにしても、繊維紐にしても、螺旋状に絡ませると、紐1本にかかる力が、均

等に紐にかかり、切れにくくなります。

 同じ数の紐を用意して、張力実験をすると、必ず捻っている方が、紐の延びも小さい

事もあり(単位長さ当たりの1本の紐の長さが長くなることも)、均等に紐に力がかか

り、切れにくくなります。

 直線で同じ数の紐を平行して並べると、均等に紐に力が加わる事がまず無いので、1

本ずつ切れていきます。張力を加えると。

 これは、ロープの鉄則、紐の鉄則です。日本語で歴史に因んで『1本の矢は折れるが

3本の矢は折れない』は間違いです。

 言いたい事は、与えられた道具は、素直に使わずに工夫して使ってみると、思わぬ効

能が得られるということです。

 続きはまた今度に。

                           2019年6月7日 著者